夕立
2026/10/10
主に地域を限定して、急に降る雨を指す日本語に、「夕立」という表現があります。典型的には、空が薄暗くなってきたかと思うと、突然ザーッと降って、比較的短時間でやむ雨を指します。厳密な気象用語というよりは、日本人の生活感覚から生まれた言葉のようです。「夕」とついていますが、必ずしも夕方に降る雨を指していませんでした。どことなく情緒のある表現であった気がしますが、最近はめっきり聞かなくなった言葉の一つです。
「今日はスコールのような激しい雨が降りました。」夕立にとって代わってニュース等で使われるようになったのが「スコール」でした。ただ、スコールはどちらかというと南国で突然降る強い雨、といったニュアンスが強くなり、次第に使われなくなりました。「ゲリラ豪雨」という言葉が登場したことが大きいのかもしれません。
その後も、「急な大雨」を意味する気象用語は、時代とともにどんどん進化し続け、「猛烈な雨」、「局地的大雨」、「記録的短時間豪雨」、「線状降水帯」、「観測史上最大規模の大雨」等、次々とおどろおどろしい言葉を造り上げるマスコミのマーケティング努力は尽きることがありません。
これらの「営業努力」がすべて「視聴率」のためだ、とまでは断定できないでしょう。マスコミの報道には、危険を知らせる重要な役割があります。しかし、私たちは、ニュースの「切迫調の語り口」まで、そのまま自身の感情として引き受ける必要はないと思います。
ニュースを見るとき、(だけではないと思いますが、)「何が起きているのか」だけでなく、「なぜこの人はこんなに切迫した言葉を使うのか」と考えてみる。その一呼吸が、情報に振り回されず、情報を自分で判断するための余白になるのだと思います。
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