平均は難しい
2026/08/21
「平均」は案外当てになりません。「平均年収」、「平均寿命」、「平均気温」、「平均株価」、私たちは日常的に平均という言葉を使っています。しかし、平均ほどわかりやすそうで、実は為政者の「ごまかし」に使われやすい数字もありません。
平均の概念でもっとも一般的なのが、すべての数字を足して人数で割る、「単純平均」です。5人の年収がそれぞれ、400万円、450万円、500万円、550万円、そして1億円だったとします。この5人の単純平均年収は2380万円になります。この数字を見て、このグループの人は裕福だ、と考えるのは明らかに現実と乖離しています。1人の突出した数字が平均を大きく押し上げているからです。この場合、「中央値」という平均値を使うと、5このグループの平均年収は500万円となり、多くの人の実感に近くなります。数字を順番に並べて、真ん中にある数値を平均とする方法です。
最近、「日経平均株価は上がっているのに、自分の持っている株は全然上がっていない」、との話(愚痴?)を聞く機会が増えている気がします。日経平均株価の算出根拠は、価格加重型株価なので、1株当たりの株価が高い銘柄の影響を色濃く反映する平均株価になります。したがって、現在のように、半導体関連の一部の値嵩株(1株当たりの株価が高い銘柄)の値動きが、平均株価に大きく影響するため、半導体関連銘柄以外の銘柄は、日経平均株価のような値動きにならない、ということになります。
では、そんなバイアスのかかった平均株価は当てにならないなら、企業の時価総額(企業価値)をベースにしたTOPIXを真の平均株価としてみればよいのでしょうか?実はTOPIXにはTOPIXなりのバイアスがあります。TOPIXは時価総額加重平均株価なので、時価総額の大きな銘柄の影響を大きく受けます。そして、時価総額とは株価×発行済株数ですが、実際のマーケットで売り買される株は、「浮動株」といわれる一般に流通する株式のみです。したがって、発行済み株式が多くても、浮動株の比率が少ない銘柄(例えば政府保有の比率が高い銘柄)が、TOPIXを算出する過程で、平均株価に大きな影響を与えてしまう、というバイアスがあるのです。つまり、どの「平均株価」ひとつとってみても、その算出根拠には「必ず」何らかの偏りが入ってしまうのです。
「平均はこうです」という言葉を聞いたとき、もう一度考えてみたい。その平均は、「誰にとっての」、「何を基準にした」平均なのかを。平均を見ることは、現実を理解する入り口に過ぎず、大切なのは、その平均の向こう側に、どんなバラツキと個性が隠れているのかを見極める必要があるのだと思います。
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